PTSDにおける過度に汎化された条件付け恐怖の神経基盤

Neural Substrates of Overgeneralized Conditioned Fear in PTSD

Antonia N. Kaczkurkin, Ph.D., Philip C. Burton, Ph.D., Shai M. Chazin, B.S., Adrienne B. Manbeck, Tori Espensen-Sturges, B.A., Samuel E. Cooper, B.A., Scott R. Sponheim, Ph.D., Shmuel Lissek, Ph.D.

目的
危険性を強化して条件付けした刺激(CS+、条件付けした危険刺激)から類似した刺激への、恐怖の過度な汎化は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の病原性マーカーとして広く受け入れられている。事実、心的外傷の状況に「類似した」良好な刺激に対する苦痛反応は、この疾患の中心的な特徴である。現在、条件付け恐怖の過度の汎化とPTSDの関連性は、主として臨床観察から得られており、被験者に対する実証的な研究は限られている。今回の研究では、動物を用いて開発された汎化勾配(CS+と少しずつ異なる刺激を提示することで、条件付け応答が徐々に低下すること)として知られる系統的方法を用いて、PTSDにおける汎化された条件付け恐怖の行動的指標および脳の指標を初めて検討した。

方法
イラクやアフガニスタンで従軍しPTSDとなった(26名)、または閾値下PTSDの(19名)、あるいはPTSDではない(外傷対照被験者とする)(17名)米国退役軍人の条件付け恐怖の汎化勾配を、機能的MRIおよび行動指標を用いて評価した。提示した刺激は、大きさが少しずつ異なる輪であり、最大または最小の輪をそれぞれ、CS+(ショックと組み合わせて提示)または非強化条件付け刺激(CS−、条件付けした安全刺激)とし、そのあいだの大きさの輪は、CS+からCS−まで一連の類似状態をなすようにした。汎化勾配は、CS+からあいだの大きさの輪を介してCS−までの反応の傾きとして評価した。勾配がゆるやかな場合は汎化が強力であることが示される。

結果
外傷対照被験者と比較して、PTSD患者は条件付け汎化が強力であったことが、行動的リスク評価および左右前部島皮質、左腹側海馬、背外側および背側正中前頭前野、尾状核の脳応答の汎化勾配がゆるやかであったことにより示された。3つの研究群のPTSD症状の重症度は、このような部位のうち2つ(右前部島皮質および左腹側海馬)の汎化のレベルと正の相関を示した。

結論
この結果は、PTSDに関連する過度に汎化された恐怖条件付けについて脳をベースとしたマーカーのエビデンスを示している。これらの知見は、心的外傷に関連した精神病理の中心であるが研究が不十分な症状に関する理解を深めさせるものである。

(Am J Psychiatry 2017; 174:125−134 監訳:産業医科大学 医学部 精神医学教室 新開隆弘先生)


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