縦断的電子医療記録による自殺行動の予測

Predicting Suicidal Behavior From Longitudinal Electronic Health Records

Yuval Barak-Corren, M.S., Victor M. Castro, M.S., Solomon Javitt, M.D., Alison G. Hoffnagle, M.S., Yael Dai, B.A., Roy H. Perlis, M.D., M.Sc., Matthew K. Nock, Ph.D., Jordan W. Smoller, M.D., Sc.D., Ben Y. Reis, Ph.D.

目的
本稿の目的は、電子医療記録(EHR)システムで一般的に入手できる縦断的既往データを、患者の将来の自殺行動リスクの予測に利用できるかどうかを評価することであった。

方法
後ろ向きコホートアプローチを用いてベイズモデルを作成した。15年間(1998〜2012年)にわたる入院患者と外来患者の来院に関する大規模ヘルスケアデータベースのEHRデータを用いて、確認された将来の自殺行動(自殺企図または死亡)を予測した。3回以上来院した患者(1,728,549名)を対象とした。ICD-9に基づく自殺行動の症例定義は、州の死亡証明書で補った、EHRの2,700個のコメント(患者520名)に関する専門臨床家の同意に基づく検討から作成した。モデルの性能は、独立したテストセットを用いて後ろ向きに評価した。

結果
研究対象集団のうち1.2%(20,246名)が自殺行動の症例定義に適合した。モデルにより患者の将来の自殺行動を、高感度で(感度33〜45%)特異的に(特異度90〜95%)早期に(平均3〜4年前)予測できた。モデルによって特定されたもっとも強力な予測因子は、よく知られたリスク因子(例、物質乱用および精神障害)およびあまり一般的でないリスク因子(特定の傷害および慢性疾患)であり、データに基づくアプローチによってより包括的なリスクプロファイルが得られることが示された。

結論
臨床で一般的に入手できる縦断的EHRデータは、将来の自殺行動リスクの予測に有用となり得る。このモデリングアプローチは、臨床家による以後のスクリーニングに向けた高リスク患者の特定に役立つ早期警告システムとなる。EHRに記載された患者特性をすべて解析することで、コンピュータ化したリスクスクリーニングアプローチにより、個々の臨床家にできること以上の予測が促進できるかもしれない。

(Am J Psychiatry 2017; 174:154−162 監訳:岩手医科大学 医学部 精神神経科学講座 大塚耕太郎先生)


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