災害後のメンタルヘルスと社会的ネットワーク

Mental Health and Social Networks After Disaster

Richard A. Bryant, Ph.D., H. Colin Gallagher, Ph.D., Lisa Gibbs, Ph.D., Philippa Pattison, Ph.D., Colin MacDougall, Ph.D., Louise Harms, Ph.D., Karen Block, Ph.D., Elyse Baker, B.Sc., Vikki Sinnott, B.A., Greg Ireton, Ph.D., John Richardson, B.A., David Forbes, Ph.D., Dean Lusher, Ph.D.

目的
災害はメンタルヘルス問題の主要な原因であり、一般的に多数の人や地域社会に影響を与えるが、社会構造が災害後のメンタルヘルスにどのように影響を与えるのかはほとんどわかっていない。著者らは災害後のメンタルヘルス転帰が社会的ネットワーク構造とどの程度関連しているかを評価した。

方法
大規模な森林火災の生存者を対象とした地域社会をベースとしたコホート研究で、心的外傷後ストレス障害(PTSD)およびうつ病が疑われる参加者(558名)を評価した。社会的ネットワークは、参加者が個人的に親しいと感じる人を指名したものが評価した。この指名を用いて、それぞれの参加者と、参加者が指名した別の参加者や参加者を指名した別の参加者とのつながりを示す社会的ネットワークマップを作成した。その後、このマップのメンタルヘルス転帰の優勢パターンを解析した。

結果
うつ病リスクは、報告した社会的つながりが少なかった参加者、他のうつ病患者とつながりがあった参加者、地域社会を去った人とつながっていた参加者の方が高かった。PTSDリスクは、その参加者とつながりがあると報告した人が少なかった場合、参加者と親しいと感じた人の財産喪失が大きかった場合、参加者はつながりがあると報告したがその人はつながりがないと感じている場合に高かった。興味深いことに、お互いに親しいと感じている他の人とつながりがあることは、PTSDのリスク低下と関連していた。

結論
これらの知見は、災害後の人の社会的つながりと関連した疾患特異的なパターンに関するはじめてのエビデンスを提供している。うつ病は、つながりのある人々のあいだで同時に生じると考えられ、PTSDリスクは社会的な分断に伴って増加する。これらのパターンは、災害後の社会的介入の可能性を深く理解するために、災害後のメンタルヘルスについて社会志向の視点を採用することが必要であることを強調している。

(Am J Psychiatry 2017;174:277−285 監訳:岩手医科大学 医学部 精神神経科学講座 大塚耕太郎先生)


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