統合失調症における加齢による灰白質および白質悪化の加速

Accelerated Gray and White Matter Deterioration With Age in Schizophrenia

Vanessa L. Cropley, Ph.D., Paul Klauser, M.D., Ph.D., Rhoshel K. Lenroot, M.D., Jason Bruggemann, Ph.D., Suresh Sundram, M.B.B.S., Ph.D., Chad Bousman, Ph.D., Avril Pereira, Ph.D., Maria A. Di Biase, B.S., Thomas W. Weickert, Ph.D., Cynthia Shannon Weickert, Ph.D., Christos Pantelis, M.B.B.S., M.D., Andrew Zalesky, Ph.D.

目的
統合失調症における脳の変化は、加齢に伴う脳の変化を反映することが提唱されているが、疾患の経過において灰白質や白質がどのような変化を示すのかは明らかにされていない。本研究では、統合失調症患者におけるこれらの変化が、加齢によって加速または消失するのか、もしくは安定しているのかを検討した。

方法
年齢20〜65歳の統合失調症または統合失調感情障害と診断された患者326名および健常対照者197名を対象に、灰白質の体積および異方性比率をマッピングした。灰白質の体積および異方性に対する年齢の影響を脳全体およびボクセル単位で解析し、多項回帰を用いてモデル化した。灰白質の体積および異方性比率に関する群間差は、領域的に限局化して検討し、並べ替え検定およびクラスタ単位の推定を用いて全年齢で比較した。

結果
統合失調症群では灰白質体積の有意な減少が認められ、高齢になるほど徐々に悪化し、70歳代では最大8%の体積減少が認められた。統合失調症群における灰白質体積の推定喪失速度は、中年期まで有意に加速し、その後は安定した。対照的に、統合失調症群における異方性比率の有意な低下は35歳以降でのみ認められ、年齢に伴う異方性比率の悪化速度は一定であり、直線によるモデル化がもっとも適していた。統合失調症群での直線の傾きが対照群よりも60%大きかったことから、統合失調症では年齢に伴う白質の悪化速度が有意に速いことが示唆された。灰白質の体積および異方性比率の低下速度は、女性よりも男性で有意に速かったが、性別と診断の明確な交互作用は認められなかった。

結論
これらの知見から、統合失調症の特徴として、最初に灰白質が急速に喪失し、中年期になってその速度が低下した後、白質が欠失し加齢に伴い一定の速度で進行性に悪化することが示唆された。

(Am J Psychiatry 2017; 174:286−295 監訳:医療法人恵風会 高岡病院 佐藤創一郎先生)


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