アルツハイマー病における抗精神病薬治療中止後の再燃の予測:幻覚の位置づけ

Prediction of Relapse After Discontinuation of Antipsychotic Treatment in Alzheimer's Disease: The Role of Hallucinations

Anjali N. Patel, D.O., Seonjoo Lee, Ph.D., Howard F. Andrews, Ph.D., Gregory H. Pelton, M.D., Susan K. Schultz, M.D., David L. Sultzer, M.D., Jacobo Mintzer, M.D., M.B.A., Danilo de la Pena, M.D., Sanjay Gupta, M.D., Sylvia Colon, M.D., Corbett Schimming, M.D., Bruce Levin, Ph.D., D.P. Devanand, M.D.

目的
アルツハイマー病では抗精神病薬が一定期間使用されることが多く、症状の軽快によりその使用が中止されると、後に再燃する場合がある。本研究では、どの神経精神症状により再燃を予測できるのかを検討した。

方法
アルツハイマー病における抗精神病薬中止試験では、激越またはサイコーシスの症状を有するアルツハイマー病患者180名にリスペリドンを16週間投与し、治療反応が認められた患者(N=110)を、リスペリドンを32週間継続する群、リスペリドンを16週間継続投与した後にプラセボを16週間投与する群、またはプラセボを32週間投与する群のいずれかに無作為割付した。これまでに報告したように、リスペリドンの中止後16〜32週の期間に再燃リスクが2〜4倍に上昇した。本研究では、事後分析を計画し、神経精神症状評価票(NPI)における12症状ドメインと無作為化後の最初の相(16週間)における再燃との関連性を検討した。

結果
ベースライン時の症状として重度の幻覚を有する患者では、軽度の幻覚を有するまたは幻覚のない患者と比較して、再燃の可能性が高かった(ハザード比=2.96、95%CI=1.52〜5.76)。この再燃に対する影響は幻聴のサブグループでは認められたが、幻視のサブグループでは認められなかった。ベースライン時に幻覚のあった患者のうち、リスペリドンを中止した17名中13名(76.5%)に再燃が認められ、リスペリドンを継続した患者で再燃が認められたのは26名中10名(38.5%)であった(p<0.02)。重度の幻覚を有する患者での再燃は77.8%であったのに対し、軽度の幻覚を有する患者では36%であり、群間差は有意であった。最初の非盲検投与相終了時のNPIドメインスコアは再燃と関連しなかった。

結論
ベースライン時に重度の幻覚が認められた患者では無作為化後の再燃の可能性が高く、ベースライン時に幻覚が存在すると、リスペリドン中止後ではリスペリドン継続投与後と比較して、再燃リスクが上昇していた。幻覚、とくに幻聴を有する患者では、抗精神病薬の中止は再燃のリスクが高いことから注意が必要である。

(Am J Psychiatry 2017;174:362−369 監訳:社会医療法人財団 仁医会 牧田総合病院 精神科 尾鷲登志美先生)


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