うつ病における報酬に対する線条体反応のドーパミン伝達増強

Dopaminergic Enhancement of Striatal Response to Reward in Major Depression

Roee Admon, Ph.D., Roselinde H. Kaiser, Ph.D., Daniel G. Dillon, Ph.D., Miranda Beltzer, B.S., Franziska Goer, B.S., David P. Olson, M.D., Ph.D., Gordana Vitaliano, M.D., Diego A. Pizzagalli, Ph.D.

目的
うつ病は、報酬関連線条体活性化の抑制および報酬学習の機能異常を特徴としており、これはおそらく、ドーパミンシグナル伝達の低下を反映していると考えられる。本研究の目的は、ドーパミンシグナル伝達を円滑にするようデザインされた薬物療法が、うつ病患者における報酬に対する線条体反応を増強し、報酬学習を改善するかどうかを検証することであった。

方法
二重盲検プラセボ対照デザインを用いて、薬物療法歴のないうつ病の参加者46名と健康な対照参加者43名を、プラセボ投与群または低用量(50 mg)D2/D3受容体拮抗薬であるアミスルプリド(amisulpride)の単回投与群に無作為に割り付けた。アミスルプリドは、シナプス前自己受容体遮断によってドーパミンシグナル伝達を増加させると考えられている。ドーパミンシグナル伝達の増加が報酬関連線条体機能および行動に及ぼす影響を検討するため、アミスルプリドの最大吸収時点で金銭的誘引遅延課題(機能的MRIと併せて)および確率的報酬学習課題を実施した。

結果
うつ病患者は、以前の試行で報酬が得られた刺激を選択する頻度が対照参加者よりも少なく、報酬学習の抑制が示されたが、アミスルプリドを投与してもこの作用は変化しなかった。一方、アミスルプリドを投与されたうつ病の参加者は、プラセボを投与されたうつ病の参加者(およびアミスルプリドを投与された対照参加者)と比べて、線条体活性化が増加し、金銭的報酬に応答した側坐核と中帯状皮質間の皮質線条体機能的結合性が強化された。アミスルプリドを投与されたうつ病の参加者においては、プラセボを投与された対照参加者と同様、報酬に応答した皮質線条体結合性が高い場合、報酬学習が良好であることが予測された。

結論
うつ病の参加者では、ドーパミンシグナル伝達の急性の増強により、報酬関連線条体活性化および皮質線条体機能的結合性が強化されたが、行動に対する影響は認められなかった。以上の結果を合わせると、個別化薬物療法によりうつ病における報酬処理の神経相関が正常化する可能性があることが示唆されるが、神経機能に対してはこのような急性効果が認められるものの、行動の変化をもたらすにはより長期的な投与が必要と考えられる。この結果は、うつ病におけるアミスルプリドの抗うつ効果は持続的投与後に現れたという既発表報告と一致する。

(Am J Psychiatry 2017; 174:378−386 監訳:産業医科大学 医学部 精神医学教室 新開隆弘先生)


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