統合失調症を有する若年者における、糖尿病の内因性リスクおよび抗精神病薬関連リスク:デンマークの地域住民を対象としたコホート研究

Endogenous and Antipsychotic-Related Risks for Diabetes Mellitus in Young People With Schizophrenia: A Danish Population-Based Cohort Study

Anto P. Rajkumar, M.D., D.N.B., M.R.C.Psych., Ph.D., Henriette Thisted Horsdal, M.Sc., Ph.D., Theresa Wimberley, M.Sc., Dan Cohen, M.D., Ph.D., Ole Mors, M.D., Ph.D., Anders D. Børglum, M.D., Ph.D., Christiane Gasse, R.Pharm., Dr.Rer.Medic.

目的
糖尿病は統合失調症における過度の心血管死亡や寿命の短縮の一因となる。地域住民を対象とした本コホート研究では、抗精神病薬未服薬の統合失調症患者において糖尿病の内因性リスクを検討し、統合失調症患者集団で抗精神病治療を開始することにより追加されるリスクを評価した。

方法
本研究では、1977年1月1日以降にデンマークで出生したすべての住民を2013年1月1日まで追跡した(N=2,736,510名)。Danish Psychiatric Central Research Registerによって、統合失調症の診断を確認した。Danish National Prescription Registryから抗精神病薬の処方に関するデータを入手した。糖尿病の確認は、Danish National Patient RegisterおよびDanish National Prescription Registryを用いて行った。著者らは、糖尿病の内因性リスクおよび抗精神病薬関連リスクを、Cox比例ハザードモデルを用いて推定し、可能性のある交絡因子も考慮した。

結果
コホート全対象者中、14,118名(0.52%)に追跡期間(49,582,279人年)中糖尿病が発現し、8,945名(0.33%)に統合失調症が認められた。抗精神病薬未服薬の統合失調症患者における一般集団に対する糖尿病の補正ハザード比は3.07(95%信頼区間[CI]:1.71〜5.41)であった。糖尿病の家族歴およびその他の潜在的な交絡因子で補正したあとの糖尿病リスクは、抗精神病薬未服薬の統合失調症と比較して、抗精神病薬治療開始後において有意に高かった(補正ハザード比:3.64、95%CI:1.95〜6.82)。第一世代抗精神病薬(補正ハザード比:3.06、95%CI:1.32〜7.05)または第二世代抗精神病薬(補正ハザード比:3.44、95%CI:1.73〜6.83)のいずれかを用いた第一選択治療により、統計的に有意な差はなかったが糖尿病のリスクが上昇した。これらの結果は、2型糖尿病に限定して適切に行われた感度解析の結果からも裏付けられた。

結論
統合失調症では糖尿病の高い内因性リスクが認められるが、第一世代または第二世代抗精神病薬を使用することによりそのリスクはさらに高まる。糖尿病の早期発見と有効な治療は、抗精神病薬への曝露にかかわらず、統合失調症の集学的な管理における不可欠な要素である。

(Am J Psychiatry 2017;174:686–694 監訳:岩手医科大学 医学部 精神神経科学講座 大塚耕太郎先生)


画像をクリックするとPDFが開きます

▲ページトップへ戻る

閉じる