故意の自傷行為後の自殺

Suicide Following Deliberate Self-Harm

Mark Olfson, M.D., M.P.H., Melanie Wall, Ph.D., Shuai Wang, Ph.D., Stephen Crystal, Ph.D., Tobias Gerhard, Ph.D., Carlos Blanco, M.D., Ph.D.

目的
著者らは、故意の自傷行為を行った成人を対象に、その後1年間の反復的な自傷行為および自殺既遂リスクの特定を試みた。

方法
故意の自傷行為であると臨床的診断を受けたメディケイド受給者の全国コホート(61,297名)を最長1年間追跡調査した。1,000人年あたりの反復的な自傷行為数および10万人年あたりの自殺数(National Death Indexの死因情報に基づく)を決定した。反復的な自傷行為および自殺のハザード比をCox比例ハザードモデルにより推定した。

結果
非致死的な自傷行為後の12ヵ月間に、1,000人年あたりの反復的な自傷行為発生数は263.2件、10万人年あたりの自殺既遂数は439.1件であり、マッチさせた一般集団コホートと比べて37.2倍高かった。自殺のハザードは、最初の自傷行為を暴力的方法で行ったときのほうが非暴力的な方法を用いた場合と比べて高かった(ハザード比=7.5、95%CI=5.5〜10.1)。とくに、火器を用いたとき(ハザード比=15.86、95%CI=10.7〜23.4;参照として毒物を用いて算出)にその傾向が強く、また最近外来でメンタルヘルスケアを受けた患者でも程度は低いが自傷行為後の自殺リスクが高かった(ハザード比=1.6、95%CI=1.2〜2.0)。非暴力的方法を用いて自傷行為を行った患者と比べて、暴力的方法を用いた患者は最初の自傷行為後30日以内に自殺するリスクが有意に高かった(ハザード比=17.5、95%CI=11.2〜27.3)が、それ以降の335日間の自殺リスクは高くなかった。

結論
故意の自傷行為の治療を受けた成人は、その後1年間に反復自傷行為の頻度が高い。最初の自傷行為に暴力的方法、とくに火器を用いた患者は、最初の自傷行為の直後に自殺リスクがひときわ高く、この患者群の慎重な評価および緊密な経過観察の重要性が強調される。

(Am J Psychiatry 2017; 174:765–774 監訳:岩手医科大学 医学部 精神神経科学講座教授 大塚耕太郎先生)


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