小児ADHDの成人期の転帰の神経基盤を決定する:反応抑制のマルチモーダル神経イメージング研究

Defining the Neural Substrate of the Adult Outcome of Childhood ADHD: A Multimodal Neuroimaging Study of Response Inhibition

Eszter Szekely, Ph.D., Gustavo P. Sudre, Ph.D., Wendy Sharp, M.S.W., Ellen Leibenluft, M.D., Philip Shaw, B.M., B.Ch., Ph.D.

目的
小児期の注意欠如・多動症(ADHD)の成人期の転帰に関連する神経プロセスが理解できれば、臨床経過を改善する新しい介入法が開発できると考えられる。皮質下プロセスの異常は「固定化」され寛解時にも存在するが、前頭前皮質の活動の正常化によりADHDの寛解がもたらされると言われている。著者らは、抑制プロセスのマルチモーダル神経イメージングを用いて、小児期から追跡調査を行っている成人を対象としてこれらの仮説を検証し、寛解性ADHDと持続性ADHDを比較した。

方法
成人参加者(持続性ADHD35名、寛解性ADHD47名、罹患していない参加者99名)を対象として、反応抑制課題時の脳活動を、機能的MRI(fMRI)(85名)、脳磁図検査(33名)、またはその両方(63名)を用いて測定した。

結果
fMRI解析では、抑制時の右尾状核の異常が小児ADHDの既往を反映しており、寛解した成人にも存在していた。これとは対照的に、成人期の転帰に関連した差異は、皮質(右下前頭および下頭頂/楔前部)および小脳領域に認められた。持続性ADHD群ではこれらの領域の活動が低かったが、寛解性ADHD群と罹患していない参加者群とのあいだに有意差は認められなかった。脳磁図検査では、成人期の症状の重症度と前頭前野の神経活動の関連性が、抑制行動に対応する時間帯(300〜350ms)に限定されていることが示された。小脳と頭頂部の神経活動の群間差は、行動モニタリングプロセスの時間帯(500〜600ms)に認められた。

結論
fMRIと脳磁図検査を組み合わせることで、ADHDの成人期の転帰に対応する神経活動の部位と時間帯が正確に示された。このように、ADHDの臨床経過に関連する皮質−小脳プロセスは、ADHDの臨床経過に関連しない皮質下プロセスとは区別される。

(Am J Psychiatry 2017; 174:867–876 監訳:名古屋大学医学部附属病院 親と子どもの心療科 岡田俊先生)


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