ADHDの薬物療法と物質関連問題

ADHD Medication and Substance-Related Problems

Patrick D. Quinn, Ph.D., Zheng Chang, Ph.D., Kwan Hur, Ph.D., Robert D. Gibbons, Ph.D., Benjamin B. Lahey, Ph.D., Martin E. Rickert, Ph.D., Arvid Sjölander, Ph.D., Paul Lichtenstein, Ph.D., Henrik Larsson, Ph.D., Brian M. D’Onofrio, Ph.D.

目的
物質使用障害は注意欠如・多動症(ADHD)患者における過剰な死亡率への主要な寄与因子であるが、ADHDの薬物療法と物質関連問題の関連は明らかにされていない。本研究では、ADHD薬物療法と物質関連事象間の同時発生的関連および長期的関連を検討した。

方法
著者らは、青年および成人ADHD患者2,993,887名(女性47.2%)からの2005〜14年の民間医療保険請求を解析した。個人内分析では、患者が刺激薬またはアトモキセチンの処方を受けた月における物質関連事象(物質使用障害に関連する救急部門への来院)のリスクを、処方を受けなかった月におけるリスクと比較した。

結果
補正した個人内比較では、患者がADHDの薬物療法を受けなかった期間と比べて薬物療法を受けた期間に、同時発生的な物質関連事象のオッズが男性患者では35%低く(オッズ比=0.65、95%CI=0.64〜0.67)、女性患者では31%低かった(オッズ比=0.69、95%CI=0.67〜0.71)。さらに、薬物療法期間の2年後の物質関連事象のオッズも、男性患者で19%(オッズ比=0.81、95%CI=0.78〜0.85)、女性患者で14%低かった(オッズ比=0.86、95%CI=0.82〜0.91)。感度分析によりほとんどの結果は支持されたが、女性における長期的関連については一貫性が低かった。

結論
以上の結果から、青年または成人においてADHDの薬物療法が物質関連問題のリスク増加に関連する可能性は低いというエビデンスが得られる。むしろ、薬物療法は物質関連事象の同時発生的リスクの低下に関連し、少なくとも男性では、将来的な物質関連事象の長期リスクの低下にも関連した。

(Am J Psychiatry 2017; 174:877–885 監訳:岩手医科大学 神経精神科学講座 大塚耕太郎先生)


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